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30代男性教員、前例のない育休を取得する過程とその仕事観

育児休暇 育休 小学校 子育て 教師 教員 学校の先生

教師の仕事と両立させるのが大変な子育て、どんな風に向き合っているのか、取材します。

今回は東海地方で働く小学校教員、侍ed先生(@samuraiedcoach)にお話を伺いました。

男性教員として前例がない中での育休取得、子育てと両立させるための仕事への覚悟など、たくさんの先生に参考にしていただきたいです!

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侍ed先生のプロフィール

名前 侍ed先生
年齢 30代
勤務場所 東海地方の公立小学校
勤務形態 専任
ブログ https://samuraiedcoach.com
Twitter @samuraiedcoach
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育休取得について

ナツ
ナツ

侍ed先生のお子さんについて教えてください!

侍ed先生
侍ed先生

3歳と1歳の女の子です

男性教員の育休取得事例がなかったから準備したこと

ナツ
ナツ

お子さんが生まれるときに育児休暇は取得しましたか?

侍ed先生
侍ed先生

しました。長女のときは10ヶ月、次女のときは11ヶ月取りました

ナツ
ナツ

育休を取得した理由を教えてください

侍ed先生
侍ed先生

単純に、家族なのでなるべくいっしょにいたかったからです。
やっぱり子育てってみんな初心者じゃないですか。「初めてで不安だから家族で支え合いたいね」っていう話を奥さんとしました

ナツ
ナツ

侍ed先生の周りの男性教員も育休を取得しているような環境でしたか?

侍ed先生
侍ed先生

いや、一切いなかったですね。
だから育休の申請をしたときも、というか根回ししている段階で事務の方に「取れるわけないでしょ!」みたいなことを言われました

ナツ
ナツ

完全に理解がない状態だったんですね…

侍ed先生
侍ed先生

だったら校長先生を味方につけようと思って話しに行ったら「わからないから市教委の担当に聞くね」って言われて、その市教委の担当の方も「わからない」っておっしゃられたみたいで…。最初は道が険しかったです

ナツ
ナツ

取得事例がなくて上の方ですら制度を理解されていなかったんですね。
そうとう険しい道のりだったと思うのですが、そこからどうやって道を切り開いたんですか?

侍ed先生
侍ed先生

さっきも(前記事参照)お伝えしたように、育休を取りたいからって自分の考えを押し通すとどこかで軋轢が生まれてしまうと思うんです。そうすると僕のあとに続く人が育休を取りづらくなってしまうと思うので、しっかり根回しして周りから歓迎された状態で、育休を取りたかったんですね

ナツ
ナツ

育休を取る前にまず周囲の理解が必要だと考えたんですね

侍ed先生
侍ed先生

だから奥さんが妊娠する前から、事務の方に「男性でも育休が取れるって聞いたんですけど」って雑談中に相談してたんです。そしたら「取れるわけないでしょ」って感じで。
じゃあ違うところから味方につけようと思って、同僚に「いや〜僕子ども生まれたらたぶん育休取りますね」って話してたんですけどそれも「何言ってんの」って雰囲気でした

ナツ
ナツ

妊活中から行動を起こしていたんですね。それでも険しい雰囲気ですが…

侍ed先生
侍ed先生

ずーっと言ってたので、みんなの中で「あいつは変なこと言ってるやつだな」って認識があったと思うんです。実際に育休を取るってなったときは「やっぱ取るんだ。取れるんだ」って感じでした。
けど2回目の育休を取ったときはメンバーも変わってて、しかも僕に”育休を取った人”っていうイメージがついてたので「どんどん取りなよ」「これから広げていってください」みたいな雰囲気でした。
だから同僚にずっと言い続けるっていう根回しは大切だと思います

ナツ
ナツ

話題に上げることで周りの意識も変わるかもしれないですもんね

侍ed先生
侍ed先生

あとは校長先生に話を持って行く前に、自分自身で育休に関する法令を手当たり次第読んだり、職場での制度を調べて県の教育委員会から書式をダウンロードしておいたりしました。
申請の準備をなるべく自分で済ませておいた上で校長先生に話を持って行きましたね

ナツ
ナツ

そしたら校長先生からはどんな反応だったんですか?

侍ed先生
侍ed先生

最初は「ちょっとわからないから担当の方に確認してみる」って言われたんです。けど「確認しなくても取れるんですよ」って資料といっしょに説明したら、「わかった。君がそれだけ勉強してくれたから僕も勉強しつつ担当の方に確認を取るね」って言ってくださりました

ナツ
ナツ

あらかじめ準備しておいたから話を進めることができたんですね

侍ed先生
侍ed先生

その次は「担当の方もわからないって言ってるんだよね」って言われて…「でも取れますよ!」っていうのを言い続けました。校長先生はそれを拒否できない、職員の権利なので。
そうしたら校長先生に「そういうことなら良いよ」って言われたので、「でも事務の方には取れないって言われてて、今ちゃんと申請できてない状況なんです」っていうのを伝えて、校長先生から事務の方にも伝えてもらうようにしました

ナツ
ナツ

そうとう大変でしたね…。
やっぱり事前の準備がなければ育休を取るのは難しかったですか?

侍ed先生
侍ed先生

厳しかったと思います。
他県で育休を取ってる男性教員がいたので取れることは知ってたんですけど、最初の事務の方とのやり取りで「やばいな」と思いました。
自分自身で知識を積み重ねて交渉できるようにしておかないと断られるぞと思って、勉強しておきました

ナツ
ナツ

最初の反応で準備が必要だと察したわけですね。
育休は男性でも取れる制度だし本来断ることも不可能なはずですが、やっぱりまだ難色を示されたり歓迎されなかったりするんですね

侍ed先生
侍ed先生

そうですね。たぶん上の人が制度を知らないっていうのもあったと思うんです。校長先生は本当に「わからない、男性でも取れるの?」だったし、事務の方も最初はそういう入りだったので。
わからないって言われたときにこっちも曖昧な状態はダメだと思ったので、「取れますよ」ってちゃんと示せるように資料を用意しておきました

ナツ
ナツ

じゃあ「周りの男性教員は育休を取得していないけど自分は取りたい」っていう場合、妊活中からそういった準備を始めた方が良いですか?

侍ed先生
侍ed先生

そう思います。できるだけ早めが良いですね

 

年度途中での育休だから準備したこと

育児休暇 育休 小学校 子育て 教師 教員 学校の先生

ナツ
ナツ

ほかに育休取得にあたって準備しておいたことはありますか?

侍ed先生
侍ed先生

1回目は学期途中から育休に入ったんです。なので後に入る先生は学期末の成績や所見を書く材料が少ないと思ったので、所見も成績もほとんど終わらせて出ていくようにしました。
あとは日頃からやっていますけど、自分がいなくなっても大丈夫なように全部データにして、学校のパソコンで検索すれば必ず出てくる状態にしておきました

ナツ
ナツ

後任の先生が仕事をしやすいように資料をまとめておいたんですね

侍ed先生
侍ed先生

2回目の育休は1学期が終わってから育休に入ったんです。次の先生は2学期からだったので成績や所見の苦労はなかったと思うんですけど、僕の色に染まったクラスを持たなきゃいけないのもつらいと思ったので、なるべく子ども達だけで動けるように指導していました。授業も子ども達だけで学習が進むようにしたりとか、子ども同士で学び合えるような土壌を作り上げて、引き継ぐようにしました

ナツ
ナツ

年度の途中で育休に入るともうそのクラスには戻れないですよね。子ども達や保護者には育休のことをいつ頃伝えましたか?

侍ed先生
侍ed先生

1回目の育休は4月中旬に保護者会があったので、そこに校長先生にも入っていただいて「年度途中でいなくなる予定です」って伝えました

ナツ
ナツ

保護者の方からは何か反応ありましたか?

侍ed先生
侍ed先生

すごい嬉しくて印象的だったのが、校長先生が「侍ed先生は育休で途中からいなくなります」って言った瞬間に、あるお母様が「素晴らしい」って言ってくださって。その一言でその場の雰囲気が支配されちゃって、ほかの人はもう何も言えない感じでした。おかげで1回目はすごく取りやすかったです

ナツ
ナツ

保護者が集まった場でそう言ってくれた方がいたんですか

侍ed先生
侍ed先生

そうです。めちゃくちゃ嬉しかったです

ナツ
ナツ

それは救われますよね。子ども達はどんな反応でしたか?

侍ed先生
侍ed先生

4月5月の2ヶ月しかいっしょにいなかったんですよ。運動会っていう区切りがいいところまでで、「先生は育休って言って、子どもが生まれたから子どもを育てるためにお休みに入るから、次の新しい先生が来るからね」くらいでした。低学年だったので、子ども達は「寂しいけどわかったよ〜、子育てがんばってね」みたいな感じでしたね

ナツ
ナツ

2回目の育休のときはどうでしたか?

侍ed先生
侍ed先生

2回目のときは違う校長先生で方針も違って、「直前まで言わないでほしい」って言われたので本当に直前になりました

ナツ
ナツ

そうすると反応も変わってきますよね

侍ed先生
侍ed先生

やっぱり子ども達からも「なんで最初から言ってくれなかったの、わかってたことでしょ」みたいなことを言われました。心の準備ができてないから泣いてた子も結構いて

ナツ
ナツ

子ども達へ何かフォローはしたんでしょうか

侍ed先生
侍ed先生

育休直前ではあったんですけど、先生が変わることを伝えたあとは「考え方次第だからね」って話をしました。
「普通は1年間で先生1人しかいないでしょ。ってことはその先生の得意な分野でしかみんなは成長できないけど、みんなは1学期に侍ed先生の得意な分野でたくさん成長して、2学期からは次の先生の得意な分野で成長できる。今年は2倍成長できるね」って伝えたら、子ども達も納得してくれました

ナツ
ナツ

先生が変わることによるマイナスイメージが減りますね。
でも年度途中で育休に入ることがわかっているならやっぱり、事前に伝えておいた方が良いでしょうか

侍ed先生
侍ed先生

管理職の了解が得られれば、最初に伝えた方が良いと思います

 

育休を取って良かったこと

 

ナツ
ナツ

育休を取って良かったと思うことを教えてください

侍ed先生
侍ed先生

育児の大変さを理解できたことですね。妻と戦友になれたというか

ナツ
ナツ

例えばどんな大変なことがありましたか?

侍ed先生
侍ed先生

一番大変だったのが、上の子が3ヶ月くらいのときに抱っこしないと夜ぜんぜん寝なくて。だから僕が抱っこしてる間に奥さんが寝る、限界がきたら代わって奥さんが抱っこしてる間に僕が寝る、みたいな日々を過ごしていたときがありました。やっぱり眠れないのが一番つらいですね

ナツ
ナツ

それって育休を取らず働きながらだともっと大変ですよね

侍ed先生
侍ed先生

絶対無理ですね、厳しいと思います

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子育てと仕事

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子どもが生まれて変わった仕事観

ナツ
ナツ

お子さんが産まれてから変わったことはありますか?

侍ed先生
侍ed先生

優先順位のつけ方が変わって覚悟を持てたことですね。
教員という仕事が大好きなので、結婚する前は際限なく働いていたんです。楽しいから残業も苦じゃないし、朝早く行っても夜遅くまで働いても、好きなので楽しかったんですよ。
でも結婚して家族ができて子どもが生まれると、優先順位の1番が家族で、仕事はその下になりました

ナツ
ナツ

「仕事が1番」から「家族が1番」に変わったんですね

侍ed先生
侍ed先生

そうすると自分が大好きだった仕事も、いろんな降ってくる仕事を断る覚悟を持ったというか。前例踏襲でやるんじゃなくて必要な部分以外はそぎ落とす覚悟とか、職員の反対もあるだろうけどうまいこと業務を整えて自分に降ってくる仕事を減らしていく覚悟ができました

ナツ
ナツ

働き方を変えることで家庭での時間が増えましたか?

侍ed先生
侍ed先生

増えました。帰るのが早くなりました

ナツ
ナツ

特にそぎ落として良かった仕事があれば教えてください

侍ed先生
侍ed先生

些細なことが多いのでこれっていうのは難しいですけど…宿題を減らすとか、丸つけしなきゃいけない宿題の出し方をやめるとか、教員が管理している物を家庭や子どもに投げるとか。
業務で大変なウェイトを占めているもののやり方を根本的に変えて、負担を少なくするとかですね

ナツ
ナツ

宿題を減らすのって保護者からクレームがきたりしなかったですか?

侍ed先生
侍ed先生

僕の場合は言われなかったです。信頼関係を築いておくとか、考え方を伝えるのが大切だと思うんですけど、「宿題をやることが大切なんじゃなくて、宿題をやって”できるようになること”、”勉強のやり方がわかるようになること”が大切ですよね」っていうのをずっと伝えていました

ナツ
ナツ

手段ではなく目的が大切ってことですね

侍ed先生
侍ed先生

よくある漢字ノートは「自分が覚えるまでやれば良い。だから別に1回でも良いし、苦手なら100回書いても良い」って、全部を書かせるのをやめたんです。その代わりに自分が必要だと思う量をやったあと宿題で自己確認テストをやらせて、「満点ならもう宿題をやらなくて良い。けど間違えたところがあるなら、そこをできるようにするのが宿題だからね」ってしました。
だから宿題の量が減ったからといってクレームはこなかったです

ナツ
ナツ

宿題の量を減らしても成績に影響はありませんでしたか?

侍ed先生
侍ed先生

変わらなかったですし、なんなら上がったと思います

ナツ
ナツ

宿題を減らすことでクレームがきたり成績が下がったりするのかなって心配だったんですけど、そこはクリアできるんですね

侍ed先生
侍ed先生

できます。工夫次第だと思います

 

子育てで幸せなこと

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ナツ
ナツ

子育てで幸せだと思う瞬間を教えてください

侍ed先生
侍ed先生

家族が笑顔になることですね。たぶんうちの長女、日本で一番「大好き」って言ってる3歳児だと思うんですよ

ナツ
ナツ

日本で一番!子どもってそんなに言ってくれるんですか?

侍ed先生
侍ed先生

朝出勤するときも「パパいってらっしゃい!」からの、ぎゅ〜&チュ〜で「だいすきだよ早く帰ってきてね!」なんですよ(笑)

ナツ
ナツ

えー!かわいい!!

侍ed先生
侍ed先生

めっちゃかわいいんです(笑)「だいすきだよ」って日常的に伝えてくれるんですよ。無条件に愛情を示してくれるので、それが笑顔に繋がるというか、パワーが充電されます

ナツ
ナツ

そういう愛情表現ってどこで覚えるんですかね

侍ed先生
侍ed先生

夫婦が仲良くて、夫婦でも普通に言うし、子どもにもずっと言ってるからだと思います

 

子育てと仕事の両立

ナツ
ナツ

いま育休から復帰したばかりとのことですが、これから仕事と子育てをどんな風に両立しようと考えていますか?

侍ed先生
侍ed先生

さっき伝えたように覚悟を決めることが大切で、「早く帰る」って周りに言い続けることと、仕事を時間対効果の高いものに変えていくことの2つだと思います。
「早く帰る」って言い続けてると、周りも「あの先生は早く帰るから余計な頼み事しちゃいけないな」って思ってくれるので、瑣末な仕事が舞い込まなくなります

ナツ
ナツ

周囲の理解を得ることも大切ですよね

侍ed先生
侍ed先生

それでも校務分掌とかでやらなきゃいけない仕事はあるので、前例踏襲でやるんじゃなくまずはその仕事の本質を理解する。それから根本的にやり方を変えて、少ない時間で大きい効果が出るような教育にしていく。そういう業務改革をしていきたいと思います

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インタビューまとめ

  • 子育てはみんな初心者、家族で支え合うために育休を取得
  • 育休を取得した男性教員が自治体でまだいなかった
  • 事前に自分で制度を調べて資料を用意し、申請の話を進めた
  • 年度途中の育休は早めに伝えた方が良い
  • 子どもが生まれて家族が1番、仕事はその次になった
  • 仕事を減らす、そのために改革をしていく覚悟を決めた

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