教師の仕事と両立させるのが大変な子育て、どんな風に向き合っているのか、取材します。
今回は小学校で働く くろぺん先生(@totteokistory)に取材しました。
育児休暇の取得を考えている方、子育てしながら自分の時間も取りたい方はぜひ参考にしてください!
くろぺん先生のプロフィール
名前 | くろぺん |
年齢 | 30代 |
勤務場所 | 小学校 |
勤務形態 | 専任 |
ブログ | くろぺん先生のとっておきの裏話 |
@totteokistory |
育休について

くろぺん先生のお子さんは今おいくつですか?

もうすぐ2歳です

お子さんが生まれるとき、育休は取得されましたか?

産前産後で休める5日間と、年休を使いました。長い期間の育休は取得しなかったですね

5日間と年休をまとまった期間で取ったんでしょうか

5日間まとめて取って、2日間は調整で取ったっていう感じです。
育休のカウントが難しくて、うちの妻、つわりがひどかったんですよ。なのでそのための年休も数えると合計2週間くらいですね
育休取得時、周りからの反応

育休を取りづらいという男性教員もいると思うんですが、くろぺん先生が育休を取るときは職場でどんな反応がありましたか?

ありがたいことにうちの職場はパパ・ママが多かったので理解があり、「ぜんぜん取っていいよ」っていうような反応でしたね。
ただ、前の学校だとそういう反応じゃなかっただろうなぁっていうのは感じます。メンバーによるのかなってところはありますね

前の学校は子どもがいる先生があまりいなかったってことでしょうか

独身の方がけっこう多かったので、言いづらいなってのはちょっと感じてました
育休を取って良かった?

育休を取って良かったですか?

そうですね。やっぱり取った方が時間的余裕があるのでサポートもできますし、心の余裕にもつながりました

出産に対しての心の余裕ですか?

「僕の」っていうよりは「妻の」っていう部分の方が大きいかな。やっぱり夫がそばにいるだけでけっこう変わるんじゃないかなって思いました
育休を取ろうと思った理由

くろぺん先生が育休を取ろうと思った理由を教えてください!

うちの場合はつわりがひどかったり、けっこう難産だったんです。苦しんでる妻の姿を前々から見てきたので「これはぜったい育休取らなきゃな」って思ってました

奥様へのサポートですね

そうですね、心配でたまらなかった部分はありました。仕事なんかしてられないっていう

男性教員が育休を取ることはおすすめですか?

やっぱりまだ取る人は少ないと思うので、おすすめしていきたいなとは思います。
事例が1つあるだけで、その次に続く方々はきっと取りやすくなると思うんですよ。
ただ、育休を取るにあたっての根回しは大事かなと思います
育休を取るための準備

育休を取るにあたっての根回しについて、詳しく聞きたいです!

僕のした根回しといえば、出産予定日をけっこう前から知らせてました。
もう新年度が始まったときから「実はいま妻が妊娠してて、◯月◯日くらいが出産予定日なので、この前後は(休みを)取ると思います」って先に宣言してましたね。校長にも言ってました

確かに、出産時期を事前に知らせておけば、周りも仕事の準備ができますもんね

突然言われるのと前もって言われるのは全然ちがうかなぁと思います

ほかに準備しておいたことはありますか?

子ども達が混乱しないように気をつけました。
これは育休だからってわけじゃないんですけど、自分が教壇からいなくなっても、子どもたちだけで動けるようにシステム化しておく。誰が代わりの先生として教壇に立っても大丈夫なように、学級経営をしていく

そのお話、興味深いです…!

いつ突然休むかわからないから「くろぺん先生じゃないと学校生活を送れない」ってことになってほしくないんです。
「くろぺん先生1〜2日くらい休んでも僕たちやっていけるよ」っていう学級にしておくことは意識してました

具体的に、どういうことをしておいたらいいですか?

まずある程度、授業のルーティーンを決めました。
「チャイムが鳴ったらこうする」っていうのをシステム化しちゃって、先生がいなくても勝手に授業が始まるようにしました

それめちゃくちゃすごくないですか!?小学生ですよね…?

例えば「チャイムが鳴ったらすぐ◯ページを音読する」とか。子どもにタイマー係がいて「タイマーが鳴ったら次は視写をする」とか、そういうのをある程度決めとくんです

子ども達だけでもやれそうなことですね

最初は僕が見ながらそれをやるんですけど、次は後ろに立ってやらせてみたり、大丈夫そうなら今度は廊下に立つ。だんだん離れていくんです。
あえて5分遅れて教室に入って「すごいじゃん、先生いなくてもできるようになったね」ってことをしていくと、先生がいなくてもやれるようになっていきます

子どもたちが自主的に授業を始めてくれたら、代わりに入る先生もやりやすいですよね

そうですね、入りやすいと思います

それができるように、4月から段階的に取り組んでいくんですか?

今まさに鍛えてる時期です。
あんまりやりすぎちゃうと子ども達も疲れちゃうので、本当にちょっとずつ、手を離していくっていうのを意識しながら。
昨年度は夏休み明けからできるようになった感じです

なるほど…そういう準備をしておけば自分も休みやすくなるし、周りの先生の負担も減らせますね

やっぱり突然休まれて、しかもその補欠に入ったらすごい大変って思いをされると、「どうしてあの人は休んだんだ」って言われやすいんですよね。その予防策っていう側面もあるし、子ども達も成長して自主的に動けるようになるしっていう一石二鳥です
子育てについて
子どもが生まれて変わったこと

お子さんが生まれてから変わったことはありますか?

いっぱいあります。
特に言うと、親視点で学級の子ども達を見るようになりました。子どもがいなかったときは先生視点でしか見れなかったんですけど、「もしこの子の親だったらどう思うかな」っていうのは新しく加わった視点です

親視点と先生視点、やっぱりちがいますか?

例えば「教育上ここは指導しなくてはいけない」っていうのは先生視点なんですけども、「どのように指導するか」っていうのは親視点になったりしますね。
高圧的に指導しちゃうと「ゆくゆくこの子は家で親に話して、それを聞いた親はどう思うかな」ってところまで考えを巡らせるようになりました。
その子に合った指導の仕方を考えるうえで、その子が家に帰ったあとまで想像できるようになったんです

家に帰ったあとのこと…私考えたことなかったです

あとは指導を入れたあとに必ず保護者に電話するようになりましたね。これはした方が良いってのはわかってたんですけど、今までは忙しさにかまけてしないときもあったんです。
でも今は必ず電話するようにしてて、それは「自分が親だったら早めに教えてほしい」って思ったんですよ。後々こじれるのもあれだし、「先生はどういう考えを持ってやってるのか」っていうのを知れるのは、親視点だと嬉しいだろうなって

それはまさに親視点ですね

あと一番の変化は学級通信の内容ですかね。
例えば、学級通信にその週の時間割を載せたんですよ。そうすると、親は学級通信を見れば予定がわかる、持ち物もあらかじめわかるんですよ。それは保護者の方から「すごい有り難かった」っていう話を聞きましたね

子どもから前日に「〇〇が必要!」って言われて困る親からすると有難いでしょうね…!
子育て・仕事・自分の時間の取り方

子育てで大変なことを教えてください!

予測できない事態がまあ頻繁に起こるんですよね、子育てしてると。そこが大変っちゃ大変なのかな

子育ては予測できないことの連続って言いますね

それに対応するためには余白が大事だと思っています。時間的な余白も、心の余白も。
それを確保するのもなかなか大変だなぁって思いますね。平日に早帰りするほど休日出勤しないといけないくらい仕事が回らなくて、逆に平日夜遅くまで残ると平日はぜんぜん息子の顔を見れずに過ぎていく。
ここら辺のバランスどうしようかなっていうのは未だに模索中です

余白をつくるために心がけていることはありますか?

カレンダーに必ず「家族と〇〇する」ってことを書くようにしてます。そこは絶対仕事を入れないように。
逆に仕事で絶対やらなきゃいけないことがあった場合は「申し訳ないけど休日出勤させてほしい」って妻に頼んで、代わりに僕の母とかお手伝いに来れそうな人を呼んで出勤する体制を整える、そういう根回しはしてます

予定を見越して子育てに合わせたり、仕事に合わせたりしてるんですね

そうですね。
自分の趣味は朝にするって固定して、あとは子育てと仕事の時間に専念するって24時間を住み分けてますね

やっぱりスケジュールを住み分けしておくことは大事ですか?

ある程度しておく必要はありますね。
ある日息子の前でスマホをいじっている自分に気づいたときがありました。そのとき「全然子育てに集中してないな」って反省したんです。住み分けてるともう自分の中で割り切れて、思いっきり息子と遊んだりできるようになったので、住み分けは大事かなって思います

確かに、趣味の時間を朝につくるって良さそうですね

朝ってまだ子育てが始まってないんです、子どもが寝てるじゃないですか。だから落ち着いて自分の時間が確保できるんです

逆に夜だとどうですか?

夜だとまだ寝かしつけのステップがあるので、妻がそれを抱えてるのに、自分の仕事には集中できないんですよね。
かといって子どもが寝たあとにって考えると、子どもの寝る時間って一定じゃないんです。早く寝るときもあれば遅く寝るときもあるんで、確保できる自分の時間も安定しないんですよ。
その分、朝だと自分が起きる時間さえ安定してれば必ず時間を確保できるので、趣味の時間は朝がおすすめですね
子育てで幸せな瞬間

「幸せだなぁ」って思う瞬間を教えてください!

これもいっぱいあるっていうか、大変なことよりも幸せな瞬間の方が多いですね。
例えば、子どもが初めて立った瞬間とか。最近だと会話ができるようになったんです

すごい、それは感動しちゃいそうです

反応とかいちいち可愛くて、そういう時間がすごい幸せだなぁって思います。
子どもが生まれたことによって、大切なものがひとつ増えてるんですよね。仕事から疲れて帰ってきても息子の顔見たら疲れが吹っ飛ぶとか、そういうところで幸せを感じます
子育てと教育の違い

「どんな風に育ってほしいか」は息子さんに対して、学級の子ども達に対して、同じですか?

部分的には同じですけど、ある意味では別。なんでかっていうと学級の子ども達の実態とうちの子の実態が違うからなんですね。
みんな違ってみんな良いと思ってて、うちの子にはうちの子らしく成長してくれたらなって思ってます。学級の子ども達は高いスペックがあるんだったら上を目指してほしいし、あんまりできないようなら無理せずこの辺までで良いよって

「その子らしく」っていうところが共通点ですかね

「自分の人生を自分で歩んでほしい」っていうのは、どちらにも共通して思っています
インタビューまとめ
- 育休は合計で2週間くらい
- 育休を取ることで妻の心の余裕に繋がった
- 育休取得の予定を早くから周りに知らせておいた
- 自分の代わりに誰が教壇に立っても大丈夫な学級づくりをしておく
- 先生視点だけでなく親視点が加わった
- 子育て・仕事・自分の時間に専念できるよう予定を住み分け
- 子どもが生まれて大切なものがひとつ増えた
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