先生の活動!今回のインタビューは、小学校教員でありながら本の執筆活動をされている くろぺん先生(@totteokistory)
2024年3月に2冊目の単著『子どもと創るアレンジじゃんけん!とっておきの学級あそび』が出版されました。出版を記念してXのスペースで公開インタビューを配信したので、その内容を本記事へまとめました。
本の内容が気になる方、執筆の裏側が気になる方はぜひご覧ください!
『子どもと創るアレンジじゃんけん とっておきの学級あそび』に込めた思い
くろぺん先生、自己紹介をお願いします!
くろぺん と申します。公立小学校の教員をしながら、本や雑誌の執筆活動もしています。
X(旧Twitter)には#とっておきの話で子ども向けの語り原稿を上げていて、現在500話以上になりました。それがきっかけで執筆した『こどもの心に響く とっておきの話100』が1冊目の単著です。
今日は2冊目の単著『子どもと創るアレンジじゃんけん!とっておきの学級あそび』について紹介させてください。よろしくお願いします
“アレンジじゃんけん”とは?
『子どもと創るアレンジじゃんけん!とっておきの学級あそび』について、どんな本なのか教えてください
今回は“とっておきの学級あそび”について書かせていただきました。ただの学級あそび集でも じゃんけん本でもないんです。“魚”そのものではなく“魚の取り方”をご提案できるような本です
魚そのものではなく魚の取り方ということは、じゃんけんをそのまま紹介しているわけではないということでしょうか
そういうことですね
では本のタイトルで気になる”アレンジじゃんけん”についてですが、これは「じゃんけんをアレンジしている」ということですか?
じゃんけんをベースとして、アレンジしてつくる学級あそびのことを言います
どんなアレンジじゃんけんがあるのでしょうか
例えば“微笑みじゃんけん”っていうのがあります。じゃんけんに勝った人が負けた人に微笑む、微笑まれたら微笑み返すっていうじゃんけんです
それはどんな場面でするじゃんけんなんですか?
たぶん”微笑みじゃんけん”の内容だけ言うと「なんだそんなあそびか」って思うかもしれないんですけど、重要な背景がちゃんとあるんです。学級で楽しい雰囲気をつくりたいとか「お互い仲良く」っていう学級目標の中で生み出されたじゃんけんで、「魚そのものじゃなくて魚の取り方」っていうのはそういうことですね
アレンジじゃんけんができるまで
“微笑みじゃんけん”をするときは、くろぺん先生がルールを説明することから始まるんですか?
まずは”微笑みじゃんけん”ができるまでの流れがあって「どんなあそびだったらいいかな?」って児童といっしょに考えるんです。
アレンジじゃんけんをするときは、プレイシートという「このクラスでは、こういうことを大切にしようね」ということを書いた紙を配ります。
じゃんけんが終わったら「プレイシートに書かれていることが守れた学級あそびだったか」というのを必ず振り返るようにしてます
学校のどういう時間であそびについて考えるんでしょうか
おもに特別活動の時間です
特別活動のときにあそびの案を募るってことですか?
そんな感じです。
ただ案を募るというわけではなくて、学級目標とか、学級で大切にしていることに沿いながら案を募るって感じです
児童からの案は活発に出るんでしょうか
最初はあんまり出ないんです。
なので最初はこちらから「こういうあそびなら学級目標に沿うよね」って提案して、経験を積ませるんです。それを経てから「1人で考えてごらん」って時間も増やしていきます
“微笑みじゃんけん”をやるとクラスはどんな風になるんですか?
どんな風になるかっていうのは難しいんですけど、雰囲気が良くなるのはもちろんです。
実は“微笑みじゃんけん”は失敗談から生まれたもので、もともとは“一発芸じゃんけん”っていうのをやってたんですよ
難易度が高そうなじゃんけんですね
「負けた子が勝った子に一発芸をする」っていうのから始まったんですけど、それだと「学級で大切にしていることに沿わないよね」って話になったんです。児童が無理をしてしまうし「一発芸で笑ってくれなかったらどうしよう」って不安になったり。
「みんなが気持ちいいあそびとは言えないよね」ってうちの学級では言ってて、”一発芸じゃんけん”はやめました。
「ちがうあそびをするとしたらどうする?」って生まれたのが”微笑みじゃんけん”です
新しいあそびをつくるとしても「クラスで大切にしたいことに沿ったあそびを見つける」ってことなんですね
必ずそこに沿っているかどうかを振り返り、計画して、そのサイクルを回しながらあそびをつくっています
くろぺん先生がクラスで大切にしているのはどんなことなんですか?
僕のクラスではフルバリューコントラクトというのがあって、フルバリューはその目標で1番大事にしたい価値です。フルバリューを細分化したものをフルーバリューコントラクトと言います。
それがプレイシートというあそびを振り返るワークシートに書いてあって、僕のクラスでは全部で5つあるんです
その5つについて教えてください
- Be here…みんなが参加できるあそびをしよう
- Play hard…ふざけずに一生懸命あそぼう
- Play safe …事故や意地悪がなく安全に仲良く遊ぼう
- Play fair…結果が偏らないようにルールを確認して公平・公正に遊ぼう
- Have fan…いっしょに遊ぶ仲間と思いっきり楽しもう
この5つに沿っているかどうかを児童と振り返りながらアレンジじゃんけんを増やしていったら、100のアレンジじゃんけんができました。そういうエピソードが載っている本なんです
どんなあそびでも大切なことですね
僕の学級の場合は”一発芸じゃんけん”がこの5つに沿わなかったんです。「一発芸考えるのが苦しいな」「笑ってくれなかったらどうしよう」って不安になる子がいたので。そうするとPlay safeに引っかかっちゃうんですよ。「心が安心・安全じゃないからやめよう」ってことになって「Play safeもクリアできるのはどんなあそびかな」って流れから、”微笑みじゃんけん”が生まれました
くろぺん先生の学級に合っていたのは”微笑みじゃんけん”だったんですね
魚だけ(あそび自体)に注目すると人によっては「一発芸じゃんけんもいいじゃん」って思うかもしれないんですけど、それでもいいんです。大切なのは魚じゃなくて魚の取り方なので
「どんなアレンジじゃんけんなのか?」というより、学級でアレンジじゃんけんが生まれるまでの過程が大切なんですね
ご自身の学級の実態に合わせて選べるようにアレンジじゃんけんを42種類紹介してるんですけど、どっちかというと背景の方がたくさん書いてあります。「こういうエピソードがあってこういうあそびが生まれました」って
単純に「42種類のアレンジじゃんけんを1つずつやってみたらいいよ」という本ではなく「先生・児童によって適切なものを選べたらいい」ということですかね
そうなんです。42種類紹介しているんですけど「このあそびはないな」っていうのがあってもいいと思うんです。
この本は「いいあそびはない、とっておきのあそびがある」というのがテーマなんですけど、いいあそびはないんですよ。その人にとっての“とっておきのあそび”を見つける方法を示している本なんです
“微笑みじゃんけん”のほかにはどんなアレンジじゃんけんがあるんでしょうか
対戦相手と速度を合わせてじゃんけんする“速度チェンジじゃんけん”というのがあります。最初は”高速じゃんけん”とか”スローじゃんけん”っていうのをやってたんですけど、だんだん”速度チェンジじゃんけん”になりました。それがうちの学級では、5つのフルバリューコントラクトにぴったり合っていて楽しめたんです
“速度チェンジじゃんけん”はどんなじゃんけんなんですか?
じゃんけんってお互いに息を合わせようとするじゃないですか。それをずらすために、勝った方が「最初はグー」って言うようにしたんですよ。そうすると早く入るかスローで入るかは、勝った人にゆだねられるんです
なるほど、連続で何戦かやるときのじゃんけんですね
そうです。どんなテンポでくるかわからない状態で、負けた側が合わせるっていうじゃんけんです
そんな風にいろんなアレンジじゃんけんを児童たちに楽しんでもらうんですね。
でもじゃんけんって「勝ち負けを決める対戦」というイメージがあるんですけど、くろぺん先生のクラスではアレンジじゃんけんに何か目的があるんですか?
僕は勝ち負けのように、あそびを構成している要素を「構成要素」と呼んでいるんですけど、構成要素すらもアレンジしてしまうじゃんけんがあるんです。
“微笑みじゃんけん”もそうですし、似たような事例だと“ラインじゃんけん”というのがあります。運動場に白線を引いて、同じ線にいる人同士でじゃんけんして、勝ったら次の線に進む。負けたらとどまる。勝った人はどんどん先に進んでゴールを目指すっていうじゃんけんなんです
よく体育の授業でやるじゃんけんですね
だけどこれって負け続けてる人は楽しくないですよね。
なのでうちの学級ではゴールした人がまだゴールしてない人を応援したり、もう1回じゃんけんしにいったりして、全員がゴールできることを目指したんです
全員がゴールできるなら達成感があって楽しめそうですね
そういうアレンジの仕方もありますし、そもそも勝ち負けという構成要素をなくすアレンジじゃんけんもあります。
“あいこでじゃんけん”という、同じ手のうちを出すことを目指すじゃんけんです
お互いの気が合うかを試すってことですかね
そうです。
グー・チョキ・パーのあいこはすぐ作れると思うんですけど、全員がグー、全員がチョキっていうのは人数が増えるほど難しいです
なるほど、じゃんけんって1対1だけじゃないですもんね。
じゃあいつも「勝ち負けを決める対戦」というわけではなく、1つのあそびとしてじゃんけんを成り立たせているということですか?
そうです。
先ほど話したフルバリューコントラクトに沿うようなアレンジじゃんけんだけを残していきます
くろぺん先生のクラスでは特別活動の時間にそういったアレンジじゃんけんを取り入れてるんですね
最初は特別活動でやってたんですけど、慣れてきたら朝の会だけでアレンジじゃんけんが生まれたり、やってみたりっていうサイクルになりました
クラスの変化
アレンジじゃんけんをやってみて、クラスに変化はありましたか?
いろいろ変わったことはあるんですけど、主語が「We」になったのが1番の変化です
児童の主語が、ですか?
児童もそうだし、僕自身も。最初は主語が I・You・Theyだったんです。僕ひとりが突っ走ってた時期もありましたし、逆に子どもたちだけが突っ走ってた時期もあって
「主語がWeになる」というのは、クラスに一体感が生まれるということでしょうか
そうですね。自分たちでやることはしっかり自分たちでやりながら、担任に相談するところはちゃんと相談して決めるっていうような雰囲気です。
クラスもそうだし、担任と児童の間にも一体感が生まれました
学級あそびの背景
アレンジじゃんけんはいつ頃から始めたんですか?
2年くらい前です。Xでの発信は昨年から#アレンジじゃんけんで
どんなきっかけで「じゃんけんをアレンジしてみよう」と思いついたんですか?
僕は学級あそび集の本を読みあさっていまして、いろんなあそびを試してたんです。
児童に1年間の最後「どのあそびが1番楽しかった?」って聞いたら「じゃんけん汽車ぽっぽ」って答えられたのがすごく衝撃で
じゃんけん汽車ぽっぽってどんなあそびでしたっけ?
負けた人が勝った人の肩を持って、汽車ぽっぽになるんです。それがどんどん繋がっていくっていうあそびですね
あー!勝ち続けている子の後ろには長い列ができて、最後は2つの汽車の戦いになるんですよね。あれは楽しかった記憶があります
あれはすごく楽しいんですけど、それ以外にも斬新なあそびも含めていろんなあそびを紹介していたんです。なのに1番楽しいあそびが「じゃんけん汽車ぽっぽ」って言われちゃって。
そこで学級あそび集に載っている学級あそびそのものに目を向けてちゃだめなんだなって気づいたんです
あそび自体の楽しさじゃない、ということですか?
じゃないです。
ついそういう読み方をしちゃうんですけど、あそび自体に注目するんじゃなくて「どのようにしてそのあそびが生まれたのか」ってところに注目しないと、児童が本当に楽しめるあそびはつくれないんだなって学びました
じゃあ、そういったくろぺん先生の試行錯誤も本の中に書かれているんでしょうか
めちゃくちゃ書いてあります。
どちらかというと、あそびのレパートリー本というよりストーリー本です
アレンジじゃんけんというあそびだけに注目してもらいたいわけではないんですね
もう1つこだわりがあって、理論的なことも載せているのでちょっとアカデミックだったりするんです。
学級あそび集の本ってみなさんまず「どんな学級あそびが載ってるかな」ってページを開きますよね。「はじめに」とか、考え方的なところはあんまり読まれないので、もっと考え方のところを読んでもらいたいなって思いがあります。
先人のいろんな学級あそび集から理論を取り上げて、引用しながら執筆したのもこだわりです
本を通して伝えたいこと
今回の本を通して、読者のみなさんにどんなことを伝えたいですか?
先ほど言った「いいあそびはない、とっておきのあそびがある」に尽きます。
児童といっしょに楽しみながら、とっておきのあそびをつくる方法をストーリー調で紹介しています。紹介しているストーリーは一見すると失敗談なんですけど、成長談でもあるんです。実際に僕の学級でどのようにアレンジじゃんけんがつくられていったのか、具体的にイメージできるようになっています。
あそびそのものではなくあそびの背景や考え方、理論的な部分に目を向けてほしいと願って、先人たちの学級あそび本からも多数引用しています
今回はどんな人に読んでほしい本ですか?
今まで学級あそび集のようなレパートリー本を頼ってあそびの引き出しを増やしてきた人こそ、読んでいただきたいと思っています。
ただの学級あそび集の本ではなく、理論的な考え方もたくさん書いているので、一味ちがう学級あそび本だと思っていただけるかと。
学級あそびに興味がある方はぜひ手に取っていただきたいです
これまでいろんなあそびに取り組んできた先生が読んでも、アレンジじゃんけんを知れるだけではなく、さらに新しいあそびを生み出すヒントが詰まっていそうですね
自分自身でもめちゃくちゃ詰まっていると自負しております。無限にあそびを生み出せる方法が書いてありますので
執筆生活の裏側
インタビューの後半は執筆の裏側について伺っていきます!
執筆が決まるまでの経緯
今回の執筆はどんな経緯で決まったんですか?
大変ありがたいことに前著『こどもの心に響く とっておきの話100』の売り上げが好調で、重版もかかったんです。
その流れで2冊目の企画を提案させていただきました
くろぺん先生からの提案なんですね
そうです。「次を出すとしたらこんな本が書けますけど、いかがですか?」って。
打ち合わせしていく中で編集者さんが私の書きたい本について汲み取ってくださって、それが形になりました
本を出版したあとも編集者とのやりとりは続くものなんですか?
「重版かかりました」とご報告を受けたり、繋がりはずっとあります
以前から「2冊目はアレンジじゃんけんでいきたい」と考えていたんでしょうか
アレンジじゃんけんでというより、学級あそびの本を出したいと思っていました
2冊目の提案をして、すんなりと通ったんですか?
僕の思いがテキストの連絡だけではなかなか伝わりきらなかったんです。
なのでオンラインで編集者さんと顔合わせして「ただのいいあそび集の本は書きたくない」っていう意図を伝えました。そこに寄り添ってくださって「形にしましょう」と企画会議にかけていただき、通った次第です
本の出版って熱意さえあれば「じゃあこの企画でいきます」って、通るものなんでしょうか
どうなんですかね……たぶん前著の売上が好調っていうのが大きいのかと思います。
ある程度の実績や信頼がないと気軽に提案できなかったでしょうね
実績を積み重ねていないと難しいですよね
僕は前著の編集者さんが気さくな方で、すごく自然体でしゃべれたんですよね。その流れで思わず欲が出てしゃべっちゃったんですけど、ありがたいことに形になりました
今回の本の執筆がスタートしたのは、いつ頃だったんですか?
昨年の5月ぐらいです
前著の出版は昨年の3月でしたよね。ということは、発売から2ヶ月で前著の売れ行きが好調だったんですね
そうですね、翌年の春休みを見通して重版がかかっていると聞きました
本の執筆と教員の仕事をこなす生活ルーティーン
教員として働きながらの執筆をこなす、生活のルーティーンを教えてください
執筆はいつも朝活の時間にしています。
平日でも休日でも、朝起きてすぐパソコンに向かって執筆しているんです
朝は何時に起きるんですか?
日によるんですけど、5時か6時くらいですね
決まった時間じゃないんですね
体調がいいときは早く起きて、悪いときは無理しないようにしています。すごくのってるときは4時台に起きるときもありますけど、あんまり早く起き過ぎても日中に響くので。
家族が起きてないひとりの時間に集中して執筆するっていう感じです
早朝の家の中が静かな時間に執筆するんですね
執筆時間はその日の体調に合わせて30分で切り上げる日もあれば、2時間やる日もあります。
執筆活動をしてから出勤というルーティーンですね
さらに詳しく伺いたいんですけど、朝起きて、パソコンで執筆して、そのあと朝ごはんですか?
そうです。顔を洗ったり着替えたりするのは執筆の前に終わらせています
仕事へ行くためのルーティーンは家を出る何分前からスタートするんですか?
家を出る1時間くらい前に朝ごはんがスタートします。僕の家事分担でごみ出しや雨戸を開けたり、家事もいろいろします。7時くらいに子どもが起きてくるので着替えさせたりして、7時過ぎに家を出る感じですかね
ということは、家を出る1時間前よりさらに前の時間を朝活にあてているんですね。
仕事のあと帰宅してからも執筆するんですか?
それはしないで、子どもといっしょに寝ます。早いときは20時台に、遅くても21時を過ぎたら寝ています
夜寝るのが早いから、朝早く起きても日中はしんどくないってことですかね
21時に寝ていれば、たとえ4時に起きたとしても7時間寝ているので。7時間睡眠は絶対に確保します。
夜はもう疲れているし、子どもにも失礼になるので執筆の時間は入れないことにしています
夜は家族の時間を過ごすと決めているんですね。生活に区切りが付けられていて、うらやましいです
なかなかムラはありますけどね。
体調はその日によってちがうので「本当は朝活2時間やりたかったけど今日は30分しかできないな」とかもよくあります
でも執筆に焦ることはなかったですか?うまく進まなくて「夜も書かないと間に合わないかも」ってなること、くろぺん先生はないんでしょうか
いつもの朝活に加えて、僕は夏休みとかの長期休暇中に1人の時間が増えるんです。そこも執筆活動にあてているので、そんなに焦りはないですね。
焦るってことは自分のキャパを超えてるってことなので、そこは超えないように調整しながら楽しむっていうスタンスです
本の執筆スケジュールはくろぺん先生自身で立てられるんですか?それとも編集者から「これくらいまでにやってね」と言われるんでしょうか
編集者さんがスケジュールしてくださるんですけど、最近僕がちょっとずるくなってきて(笑)逆算して、たぶんここで提案したら「ここまでに書いてください」って時期を言われるだろうなって、なんとなく見通しを持てるようになりました
1冊目の経験からスケジュールが予測できるんですね
そうです。なのであえて温めておいて、タイミングをちょっとずらして提案したりしています
じゃあ意外と、自分で計画を立てて進められるものなんでしょうか
たぶん企画の提案を焦らず、自分の状態が良くなってから企画提案というように移っていくと、マイペースに執筆できるんじゃないかなって思います
教員の仕事って大変だから「本を書く時間なんて取れなさそう」ってイメージがあったんですけど、生活を切り詰めたりしなくても、自分の時間さえつくれたら本を書くことは可能ですか?
全然できますね。朝活の中で完結しているので
睡眠時間や家族生活を犠牲にしなきゃできない、なんてことはないんですね
1年前のインタビューでも同じことを言ったと思うんですけど、家族の時間は絶対に犠牲にしたくないんです。
なので「ひとりの時間を使って、どう夢を叶えていくか」ってことをすごく考えています
本業との両立も苦じゃないですか?
教員の仕事をしていて「このこと本に書きたいな」ってエピソードに出会うと、執筆は本業と結びついている趣味のように感じます。だからすごく無理なく楽しめてるなって思います
前著出版後の変化
前回のインタビューが初著書の発売前でしたが、そのとき「本を出すことになって何か変化はありましたか?」と質問をしたら「特に大きな変化はない」という答えでした。実際いま、発売を経て何か変化はありましたか?
これは1年前の自分に申し訳ないですけど、ありました。
まず、まさか2冊目も執筆できるとは思ってなかったです。それから今年の4月には3冊目が、別の出版社からとっておきの話関連の本が出ます。
1冊目の出版をきっかけにほかの出版者さんとも繋がることができて、新しく単著執筆や雑誌寄稿の話もいただいております
1冊目から継続して執筆活動を続けることになったんですね
それが変化だと思いますし、1冊目のとき以上に執筆活動が自分の日常に溶け込むようになりました
「3冊目は別の出版社から」とのことですが、これはどんな流れで執筆につながったんですか?
出版社から「1冊目を読みました。一度お話ししませんか」ってDMが来ました。
もともと1冊目を出そうとしてたときにそこの出版社さんとも連絡を取ったことがあって繋がってたんですけど、出版されて実績が認められたのか、それをきっかけに連絡をいただけるようになりました
1冊目の出版が次のステップに繋がったんですね
ありがたいことに1冊目の本をたくさんの方が買ってくださったので、本当に感謝しています。それがなかったら、たぶんこんな広がりはなかったと思うので
出版をきっかけに縁が広がるんですね
その中でいろんな人とのご縁がありまして、今度、共著本を出すことにもなりました。私が編著という立場で本を出すことが今の夢ですかね
プライベートでの変化はありましたか?
職場のみなさんはたくさん応援してくれました
職場で公表されたんですね。出版に対してはどんな反応がありましたか?
「おめでとう」とか、本当にびっくりって感じでした。
けど職場の方々は僕を色眼鏡で見たりせず、今まで通りで接し方が変わらなかったのがすごく嬉しかったんです。だから僕自身も今まで通りって感じです
職場の方はもともとくろぺん先生のXアカウントを知らなかったということですか?
知らないです。たぶん本をきっかけに知った方がほとんどだと思います
アカウントが知られてから、くろぺん先生自身は発信の仕方を変えたりしたんでしょうか
あんまり変わってないですね。発信の内容について職場でとやかく言わないですし、僕ものびのびとやっています
執筆で大変だったこと
今回の執筆で大変だったことを教えてください
自分の知ってる知識だけでは本は書けないので、ありとあらゆる学級あそびの本を読みました。良質なアウトプットをするためには良質なインプットが絶対に必要なんです。だからこそ先人から学ぶ時間が必要なんですけど、原稿の締め切りもあるんです。
締め切りに追われながら大量のインプットを整理して、アウトプットする過程が大変でした
これまでも学級あそびの本を読まれてきたという話がありましたけど、本を執筆することになってから新しく読んだ本もあるんですか?
めちゃめちゃあります、トータルで30〜40冊読んだんじゃないかなぁ。タイトルに『学級あそび』って入ってなくても関連しそうなものは全部買いました。
なのでぜひ参考文献のページも読んでほしいです
参考文献として掲載されているんですね
30〜40冊は載ってないんですけど、特に引用した本は載せています。ぜひ参考文献から背景も読み取っていただきたいなと思います
執筆の醍醐味
本を執筆する醍醐味について教えてください
言葉を増やすのはかんたんなんですけど、省くのが難しいなってすごく思っているんです。どういう言葉を削ってどういう言葉を残すのかっていうのが、大変でもあり醍醐味でもあるなって今すごく感じていますね
文章を書いていると長く書くことは意外とできて、短く削るのは難しい作業ですよね。
本の執筆だとそれはご自身でやる作業なんですか?
編集者さんとやり取りしながらです。校正作業っていうんですけど、赤ペンで書きながら「ああでもない 、こうでもない」って修正していきますね
くろぺん先生が本当は載せたかったけど、編集者と議論してカットしたお話もあるんですか?
そこまでのはないです。
僕の悪い癖で言葉がくどくなっちゃうので、読者にわかりやすく伝えるために「この言葉いらないな」っていう修正ですね
たしかにそういう塩梅って難しいですよね
だから完成したときは「必要な言葉だけ残ったな」っていう気持ち良さがありました
著書の紹介
最後に改めて本の紹介をお願いします
2冊目の単著『子どもと創るアレンジじゃんけん!とっておきの学級あそび』はただの学級あそび集の本ではなく、魚そのものではなく魚の取り方をご提案できる本です。学級あそびに興味がある先生はぜひ手に取っていただきたいです。
「いいあそびはない、とっておきのあそびがある」そのメッセージを一貫して書いておりますので、ぜひ読んでいただければと思います。よろしくお願いします!
くろぺん先生、執筆の裏側まで教えていただきありがとうございました!
インタビューまとめ
- じゃんけんのレパートリー本というより、あそびが生まれるまでのストーリー本
- “とっておきのあそび”を見つけられる本
- 学級で大切にしていることを満たすあそびに取り組めば、クラスに一体感が生まれる
- 1冊目の本の売り上げが好調で、2冊目3冊目の執筆へ繋がった
- “朝活”が本の執筆・教員の仕事・家族生活の全てを成り立たせるカギ
- 良質で大量のインプットが執筆には必要