「先生をやりながら趣味の時間は持てるの?」
プライベートの時間を充実させている先生に、取材します。
今回は、テコンドーの全日本大会出場、道場の指導員でもある小仲井健太先生(@kenta_taekwondo)にインタビュー!
学校外で活動する時間を確保するための、効率的な仕事術まで教えてもらいました!
小仲井先生のプロフィール
名前 | 小仲井健太 |
年齢 | 34歳 |
勤務場所 | 関東の私立小学校 |
勤務形態 | 専任 |
テコンドー道場Webサイト | インフィニティテコンドー リアクション柏道場 |
@kenta_taekwondo |
テコンドーとは?

小仲井先生の趣味を教えてください!

趣味はテコンドーという武道です。選手として、また指導員としてもやっております
テコンドーは、自分自身の力を最大限発揮させる武道

テコンドーって「蹴り技の武道」というイメージなんですけど、実際はどんなスポーツなんですか?

パンチやキックで、打撃系の格闘技に近い動きをする武道です。
特に有名なのは蹴り技、かかと落としや飛び蹴りですね。蹴り技が主体の武道として広く知られています。
日本だけでなく世界で人気があって、全世界に愛好者がいるようなスポーツです

キックだけでなくパンチもあるんですね、知らなかったです

よく蹴り技がフォーカスされるんですけど、手技も多くあります

段とか級はあるんですか?

段位制級位制です。最初は10級で白帯です

どのくらい習えば白帯の次にいけるものなんでしょうか

人にもよりますけど、半年から1年ですかね

テコンドーって運動神経が悪いと難しくないですか?俊敏な動きを求められそうなイメージです

もちろん運動神経がある人は、ある人なりにうまいです。
でも運動神経がない人の方が、しっかり体の使い方など考えてうまくなれるってこともよくあります。
もともとテコンドーには「その人が持っている力を最大限発揮させる」という考え方があります。力を最大限発揮させるための教え方や技術体系があるので、運動神経がなくてもしっかり強くなれます

そうなんですね!始めるハードルが高いと思っていました

私自身、大学まで運動を一切やってこなくて、それがコンプレックスだったくらいなので。それでも選手としてやれるぐらいにはなれました。
体がやわらかい人や運動神経ある人がやってるイメージがあるのかなと思うんですけど、そんなことはないです。むしろそうじゃない人にこそ、やってみてほしいです
テコンドーを始めてから選手になるまで

運動を一切やってこなかったということですが、どんなきっかけでテコンドーを始めたんですか?

小さい頃から仮面ライダーやウルトラマンなどの特撮が好きで、パンチやキックに憧れていました。けど運動がすごく苦手で、格闘技をやろうとかは全然考えてなかったです。ただ、テレビか何かで見たテコンドーが「蹴り技がすごくかっこいい」ってイメージは子どもの頃から持っていて

もともと憧れがあったわけですね

大学生のときたまたま近所にテコンドーの道場ができて、ちょうど時間もあったし「この期にやってみようか」って一念発起したのがきっかけです

始めてからもう何年ぐらいになりましたか?

15年くらいです

小仲井先生は全日本大会にも出場されているんですよね。大学生でテコンドーを初めて、大きな大会に出るまでは何年くらいだったんですか?

始めて6年くらいで全日本大会に出場できるようになりました。そこからお休みした時期もあるんですけど、今は全国大会5年連続出場です
どんな人でも上手くなれるのがテコンドーの良さ

小仲井先生が思う、テコンドーの良さってなんですか?

どんな人でも上手くなれるのがテコンドーの良さだと思います。
基礎から順番にやっていって、無理をしないところも

無理をしなくてもうまくなれるんでしょうか

すごく痛い思いをしたり、ぜぇぜぇ言いながら頑張るっていうよりかは体をどう使ったら良いか考えながらやるので、そこはすごく良いところだと思ってます

武道だから「怪我が心配だな」って思うんですけど、本当に痛い思いはしませんか…?

普段の練習では、基本的に怪我はしないです

そうなんですね!でも練習に筋トレは必要なんじゃないですか?

人によりますけど、基本的にはしないですね。私もそんなにしてないです

取り組む中で自然と筋力がつく感じでしょうか

動きながら筋力をつけていく感じです。
あんまり筋肉をつけすぎると動きが悪くなっちゃうところがあって、難しいんですよね。しなやかさの方が大切なので、筋トレはあんまりしないです
教師・テコンドー選手・テコンドー指導者、3つの顔
テコンドー教室を開くまでの道のり

小仲井先生のテコンドー教室は開いてからどのくらいなんでしょうか

2年くらい前から教室を始めました

どういうきっかけで教室を開いたんですか?

師範から「そろそろ自分の弟子を育ててみないか」というお話がありました。
それで「自分の道場を持とうか」って考えたとき、仕事を始めると忙しくてテコンドーをやめちゃう方がすごく多くて。そういう方に向けて、“仕事をしながら続けられる道場”を作れたらなぁという想いがあって、自分自身で道場を始めました

大人が通える道場を作ったわけですね。ところで道場の運営って、教員の副業になるんですか?

私、私学の教員で、すごく微妙なラインですが、学校からは地域貢献活動の一環として許可をいただいています

学校に活動の申請をしたときはスムーズにいきましたか?

割とスムーズにいきましたね。お願いしたら「いいんじゃない」っていうことで

教室を開くための具体的なステップを聞きたいです!

まずは場所選びでした。大人が通いやすいように「駐車場があったら通いやすいなぁ」「車がなくても通えるように駅の近くがいいなぁ」とか。
同時にお金の問題がけっこう大きくて、どこだったら採算が取れるかとか

採算を考えた場所選び…難しそうです

結局あんまり「副業」と言えないのは、今も儲けが出てなくて。施設管理費を払えているくらいなんです。
運営として成り立つのかっていう採算を考えた上で「どこでなら開けるか」っていうのは、ネットを使って場所をリストアップしました。あとは実際に行ってみて、お話を聞いて交渉したりとかっていうことはやりました

場所選びの次は何をしましたか?

何とか条件が合うところを探しまして、次は「どうやって人を集めようか」ってところで、ホームページを開設したり、チラシも作りました

それもご自身で?

そうですね

すごい!

今2年経ってようやく軌道にのってきたところで、採算はまだ取れてないですね(笑)

働きながらそこまでご自身でやられていたなんて…すごいです。
集客の自信はあったんでしょうか

潜在的な需要があるので「できるだろう」とは思っていました。大儲けはできないと思ってましたけど、採算が取れるところまではいくだろうなと

そこまで見越せているということは、事業運営のような勉強はしていたんですか?

最初はしましたね。SNSの活用法、ホームページの運営方法なんかは勉強しました

勉強は本で、ですか?

基本的には本を読んで情報収集しつつ、その情報をもとにネットの情報で補完してっていう感じです

参考になった本を教えてください!

SNSの活用法は『Instagram集客の教科書』とは『スマホ集客術』。あと『ソーシャルメディア文章術』はおもしろかったです。
ネット集客が今の時代に一番良いかなぁと思ったので、こういう本を中心に読みました
定時で退勤するために、仕事は効率的に

教員の仕事をやりながら、道場運営のための勉強もされていたわけですよね。さらにはテコンドーの練習も

そうですね(笑)

(この人は超人なのかな…?)
仕事とそれ以外の活動の両立の仕方、すごく気になります

実際かなり時間を使って、開設当時は大変でした。
今も指導しつつ練習しつつでバランスを取るのはすごく大変だと思ってます。ただ、学校の仕事を効率的にやってるとは思います

効率的、と言いますと

定時くらいに退勤できるよう、「やるべきことはできる限りすぐにやる」っていうのは意識してます。後でやろうとすると、そこに取り掛かるまでに時間かかっちゃうので。
どうしてもすぐにできないことはToDoリストを作っておいて、どこでできるかっていう計算をします

後回しにせず、すぐに取り掛かるか、いつやるかの計画を立てておくわけですね

あと一番意識しているのが学級経営で、やっぱり一番時間を取られるのって学級で問題が起きたときだと思うんです。
だから学級経営に力を入れていて、すぐに問題が解決できるような信頼関係を作るために、保護者とは連絡を取り合う。何かあったときすぐ解決できるような取り組みはしています

保護者と信頼関係を築いておけば、問題を長引かせず解決しやすいですか?

と思いますね。「ここまでは必ずやる」っていうのをできるだけ早く取り組みます

例えば、子どもにトラブルが起きたらすぐ保護者に連絡を入れるってことですか

そうです、その日のうちに必ず連絡を入れます。事前に学年主任や管理職と情報共有して、どうしようか相談したうえで、できる限りすぐ。
子どもの状況・問題を把握して、できるだけ早く対処して、その結果をできる限り早く報告する。基本かもしれませんけど大切にしてます

保護者への連絡だけでなくほかの教員との連携もすぐに行うんですね。
ほかにも効率的に行っていることはありますか?

あとは最近、子どもが主体的に学べる環境の準備を大切にしています。
「どういうゴールを設定して、どういう手段を用意してあげれば、子どもが自分たちで学習していけるかな」っていうのをすごく考えて準備します

「ゴール」と「手段」を準備すれば、子どもが主体的に学べますか?

それが軌道に乗れば子どもをほっといても大丈夫なんです。
その時間を使って自分は宿題の丸つけをしたりとか、効率的な時間の使い方を意識しています

軌道に乗せるのがすごく難しいと思うんですけど、コツはありますか?

ゴールを子ども達に強くイメージさせること。あとはそのゴールに向かうための環境をしっかり整えてあげる。
ゴールを決めて、それを目指せる環境があれば子どもって勝手に走り出すので

なるほど、ゴールのイメージがないとただステップをこなすだけになってしまいがちですよね

「先生、次どうしたらいいんですか」になっちゃうので、そうさせずに、「最終的にこれにするんだよ」「これがあればできるよ、あとは頑張ってね」ってやってあげると子どもたち同士でどんどんやっていきます
ICTを活用し、勤務時間内に仕事を終わらせる

テコンドーの練習は毎日しているんですか?

基本的に毎日練習はしていて、軽いときは1時間、ちゃんと練習するときは2〜3時間ですね

働きながら毎日の練習時間を確保するのって大変だと思うんですけど、小仲井先生はいつ練習しているんでしょうか

仕事のあとです。本当は朝できたらいいんだけど、これは単純に私が朝が弱いからです

先ほど「定時頃には退勤している」ってお話がありましたが、その分朝早く出勤して仕事をしているんですか?

できてないです(笑)

ということは勤務時間内に仕事を済ませているってことですね

それはできてますね。ICTツールの活用をかなり頑張っています。
例えば、宿題チェックは一切やってなくて、子どもがやります

子どもが自分でチェックできるってことですか?

私がパソコンを立ち上げて、パソコンと繋げるバーコードチェッカーがあるんです。それを子どものノートに貼ってあるので、子どもが勝手にピッてやって、宿題チェックは全て子どもがやってくれます

丸つけも子ども自身で?

丸つけは私がやります。出しているかどうかのチェックは子どもがやってくれて、あとはエクセルで集計処理してます

ICTの活用で仕事の負担が減らせますね。
そういうツールは学校が整えてくれているんですか?

これは私がマイクロソフトの認定教育資格(MIEE)を持っている関係の繋がりで、Facebookとかで「こういうツールをエクセルで作ったんだけどどう?」という感じで手に入ったりするんです。宿題チェックのやつもそこからいただきました
仕事に活きるテコンドーの経験

テコンドーの経験は仕事に活きていますか?

先生の仕事って、本質的には“その人自身を見せること”だと思っていて

その人自身を見せる、と言いますと

「“どういう生き方、考え方をしてるのか”を見せるのが、先生の本質だ」っていう想いがあります。
テコンドーをやっていて、選手としても指導員としても頑張る姿を子どもに見せられるっていうのは、教員として子どもに良い影響を与えていると感じます

小仲井先生がテコンドーをやっていることは、学校の子ども達に公表しているんですか?

全てオープンにしてます

テコンドーを通して子ども達に小仲井先生の生き方を見せているるわけですね

例えば道徳の授業なんかですごく実感するんですけど、子ども達に夢を考えさせるときがあるんです。その中でただ「夢を持つのは大切なんだ」って言う先生と、今現在も夢に向かって努力を続けていて「夢を持つってそんなに甘いもんじゃないよ、夢を目指して頑張ることが大切なんだ」って言う先生では説得力が違うと思っていて、それは子ども達も感じてくれているみたいです。「ほかの先生とは違う見方・生き方をしてるな」っていう風に見てくれているというか

小仲井先生の今の夢は何なんですか?

教師をしながらその中でも、日本の頂点……日本最強の教師になりたいですね

すごい!日本最強の教師!!

何年かかってもいいから「俺は日本最強の教師だ」って言える人になりたい。
ただ力を振りかざして「最強だ」って言うんじゃなくて、もうちょっと深いところで。「なんか穏やかだけど、実際は強い」っていう、深い意味で「日本最強」と言える教師になりたいっていうのが夢です

夢を持っている先生、素敵です

「自分は鍛えてて強い」って自信を持てることも武道の良さだと思います。自信が持てることで余裕が持てるというか

確かにお話ししていて、小仲井先生からは自信を感じます

もちろん今の時代って体罰なんてもってのほか、怒鳴ったりすることもよくないと思っているんですが、じゃあ何をもって子ども達を制するか。それってある種、「この先生はすごいな、強いな」とかっていう何らかの形で「この先生の言うことは聞いとかなきゃいけない」って思わせないといけない、と思っています

表面的な力ではなく内からにじみ出る力、でしょうか

実際に有形力を行使したりはしないですけど、「誰かと戦っても負けない自信がある」っていう状態で人と接することができるのは、いろんな保護者や子どもと関わるうえで自分の自信になっていて、それが伝わってるのかなっていうのは感じています

実際に手を出して強さを見せたわけではないけど、自然と自信が伝わっているんですね

武道の強さってそういうものだと私は思っています
テコンドーは教師におすすめ!

テコンドーは学校の先生に趣味としておすすめですか?

教員として、一人の人間としての価値を高めるうえですごくおすすめです。自分を磨き続けることは絶対に教員としてプラスになります

自分を磨き続けている小仲井先生のお話を聞いて、私もすごく刺激になりました

また、教員というコミュニティだけで生きるっていうのは、結構つらいんじゃないかって思うところもあります。
テコンドーに限らずですけど、教員以外のところで「自分にはこんな価値があるんだな」「こんな風に成長してるんだな」って感じられる場所があるのは、教員のメンタルヘルス的に大事なことだと思います。
そういう意味では、テコンドーというコミュニティに所属して、「今日はこんなことできた」「こんなこと頑張った」とか実感できる場所にするのはおすすめです
小仲井先生のテコンドー教室

小仲井先生の道場はどんな特徴があるんですか?

大人専門のテコンドー道場です。なので20時〜22時という仕事帰りに通いやすい時間設定にしています

小仲井先生の教室にはどういう方が習いに来てるんでしょうか

基本的にみんな初心者ですね。1番若くて大学生、あとは30代の会社員の人とかです

生徒さん同士の交流はありますか?

基本的には練習の前後で話すくらいです。その中で自然と仕事の話をしたり、相談したり、自然なコミュニティが築かれてるんじゃないかなと思います

ひとりで習いに行っても大丈夫なんでしょうか

大丈夫です。基本的にみんなひとりで来て、ひとりで入会してます

そういうものなんですね!
小仲井先生の道場に通えば、技術だけでなく自分に自信もついてきますか?

つくと思います。
やっぱり体も技術も変わっていきますし「こういうことができるようになった」っていう自信を持って人前に立つのは、プラスの影響があると思います

道場に通われてる生徒さんが変化している実感はありますか?

武道としての動きの中で姿勢が良くなりますね。
あとは痩せたのか心持ちのせいなのか、いろんな要素があると思いますけど、表情も明るくなる方が多いです

では最後に、ぜひ道場の宣伝をお願いします!

もしこれを見て来てくださる先生がいたら、小学校教員でテコンドーの先生をやっているのは私だけなので、仕事とプライベートの両立は最大限応援させてもらいます。
仕事が忙しくなっても相談しながら通えるっていうのは、私の道場の良さです。
初心者からテコンドーを始めた方ばかりですので、少人数で丁寧に教えます。安心して来てくれたらなと思います
小仲井先生のテコンドー教室、気になる方はぜひチェックしてみてください!↓
インタビューまとめ
- テコンドーは、自分の力を最大限発揮させる武道
- 定時で退勤するために、やるべきことはすぐにやる
- 学級経営に一番力を入れ、信頼関係を作っておく
- 子どもが主体的に学べるようにすれば、効率よく仕事ができる
- ICTの活用で仕事を減らす
- 教師の仕事は「その人自身を見せるここと」
- 夢は「日本最強の教師になること」