「先生をやりながら趣味の時間は持てるの?」
プライベートの時間を充実させている先生に、取材します。
今回は関西の小学校で働く さっきー先生にインタビューしました。
難関資格へ挑戦するさっきー先生の勉強法や、時間をつくるための仕事術まで伺いました!
さっきー先生のプロフィール
名前 | さっきー |
年齢 | 26歳 |
勤務場所 | 関西の小学校 |
勤務形態 | 専任 |
趣味は気象予報士の勉強

さっきー先生の趣味を教えてください!

今は気象予報士の勉強です

どうして気象予報士の勉強を始めようと思ったんでしょうか

20歳くらいから、1年に1つ資格を取っているんです。一昨年は防災士、昨年は中型バイクの免許を取りました。
今年は気象予報士を取ろうかと思って勉強中です

1年で1つの資格ってすごいですね。働きながらだと大変じゃないですか?

やってみたら意外といけますよ。ほかの資格はそんなに勉強時間がいらなかったんです、バイクだったら教習に行けば取れるので。
ただ気象予報士は目安として1000時間勉強が必要で合格率も5%なので、いま週に20時間を目標に勉強してます

気象予報士の勉強は学校の先生におすすめですか?

生半可には取れない資格なので、気軽に挑戦するのはおすすめできません。けど、何も特技とかないなって人には良いチャンスだと思うので、おすすめです。世の中にいろんな資格がある中でお天気って生活に密接することだし、良い勉強分野だと思います
子ども達へ影響する勉強の姿勢

さっきー先生が気象予報士の勉強中だって、子ども達は知っているんですか?

気象予報士の勉強をしてますと公言はしてないんですけど、いつもデスクにテキストを置いています。
読書の時間も子どもといっしょになって本を読んでいて、今は『天気の図鑑』を読んでます。これ子どもも「貸して」って言うのでたまに貸してあげたり、学校でしゃべれそうなネタがいっぱいある本なんです

勉強した知識が学校で活かせたことはありますか?

いま1年生の担任なので授業で活かせることはまだないんですけど、勉強する中で科学への興味がさらに湧きました。生活科の授業が自分でも楽しくなってきたんです。それが子ども達にも伝わるみたいで、「先生が楽しそうに勉強してるのって良いな」って思うみたいです

さっきー先生の楽しさが子ども達にも伝わったエピソードってありますか?

私が「秋見つけ」とか、季節見つけをするんですけど、葉っぱって種類によって紅葉の仕方が違いますよね。「何でこっちは黄色で、こっちは赤色なんだろう」とか、私が真剣に見ていたら「なになに」ってみんな集まって来るんですよ。大人が真剣に「おもしろい!」ってやってる姿が良いのかなって思いました

子ども達も興味を持つきっかけになりますね。
ほかにも勉強していて良かったことがあれば教えてください

もうひとつは勉強するっていう姿勢です。
私は資格取得のために勉強してるんですけど、子ども達も自分の成長のために国語や算数を勉強しているので、スタンスとしては同じかなと思うんです

気持ちの面では似ていますよね

やっぱり机に向かって勉強するのってしんどいときもありますよね。でも勉強した方が良いから、やるしかないから「気分が乗らなくてもやるか」って感じだと思うんですけど、それがわかるから算数の授業で「しんどい〜」って言う子どもの気持ちもわかります。だからそんな子がノートに何か1行でも書けたら、「授業がんばったな」って本気で想って言ってあげられます
勉強するコツは、部屋を「アトリエ」にする

趣味とはいえ勉強ってなかなか続けられることではないと思うんですけど、勉強のコツってありますか?

部屋をアトリエだと思うことです。アトリエって画家の人とかが道具をいっぱい並べて、いつでもどこでも描けるようにしてますよね。どこにいても勉強ができるようにすると、勉強がしやすいです

どこにいても勉強ができるように…具体的にはどういうことでしょうか

机の上はテキストをずっと開きっぱなしです、座った瞬間から始められるように。
ベッドの枕元にも本を置いたり、トイレに暗記事項を貼ったり。洗面所や玄関も貼っています

テキストはあえて開きっぱなしにしたり、家中どこでも勉強するっていう心持ちなんですね

アトリエのように、ですね。そう考えると楽しくないですか?きっと「勉強缶詰部屋」みたいな言い方もあると思うんですけど、勉強を大変にしないように、日常にする感じですね
勉強に必要な物

気象予報士の勉強は何で行っているんでしょうか

ユーキャンの資格講座です。
箱に入って送られてくるんですけど、テキスト・DVD・過去問があります。あと添削が10回ついてて、問題の解答シートを月に1回くらい送ると、先生が赤ペンを入れて送り返してくださいます。
Web講座もあって動画が見られたり、勉強サイトみたいなのも使わせてくれます

けっこう充実してるんですね。じゃあユーキャンに申し込めば一通りの勉強ができそうですか?

私、学生のときから用意したテキストをとにかくやりこむ、やり込んだ後に次どうするか考えるタイプなので、ひとまず間に合ってます。
勉強し始めて半年くらいなのでまだ充分ではないですけど、今はこれでやってます
趣味の時間をつくる働き方

最初に「週に20時間を目標に勉強している」というお話がありましたけど、働きながらどうやって勉強時間を確保しているんでしょうか

私、昨年までは17時に帰ってました。
今年は異動して最初の年でまだちょっと様子を見てるんですけど、遅くとも18時には帰ってます

ということは、18時までに仕事を終わらせているんですか?

18時までに終わるように仕事をする、って感じです
子どもを満足させる取り組み

仕事を早く終わらせるコツがあれば教えてください!

コツは、自分で仕事を増やさないことです。先生によってはあれこれと工夫をして、長い時間をかけたり自作の何かをしている方もいますが、私は基本の徹底をして、安定した学級経営に気をつけることで「遅くまで残らない」を実現しています。
放課後、思いがけず仕事が伸びちゃう理由って保護者対応だと思うんです。ただ、今注力している心がけによって、トラブル等での保護者対応は防げていると感じています

具体的にはどんな取り組みをされているんでしょうか

子どもが「学校楽しかった」「勉強がんばってきた」って満足して帰ることが大切です。そうしたらクレームもなくなるので。もちろん怪我の報告とかはしますけど、トラブルがないようにきちんとしつけをして、子どもが満足できるようにコミュニケーションを取って、ってすると保護者対応の時間はめちゃくちゃ減ります

子どもが学校で満足して過ごせるよう、さっきー先生が心掛けていることは何ですか?

子どもが「先生だいすき」「先生といっしょなら楽しい」って思えるようにいっぱい話しかけるし、息を吐くように褒め言葉を言います。
あと、なんでもないときは真顔じゃなくって、にっこりしておくんです

たくさん褒めるって意外と難しいと思うんですけど、例えばどんな風に褒めるんでしょうか

「えらいね」って言うんじゃなくて「〜〜ができてるね、良いよ」って伝えます。
「頑張っている自分はすごい」って自分自身で思えるようにするのが最終ゴールです

さっきー先生は子どもを叱ることってないんですか?

叱ることもありますけど、叱らなくてなくてよくするっていうことも大切かもしれないです。叱る手段以外にいっぱい技を持っておくと、より効果のあることができると思っています

叱る以外の技…例えばどんな技なんでしょうか

例えば、休み時間遊ぶのに必死で授業に遅刻してくる子がいたら、「先生は時間を守ってくれる子といっしょにいたいな」って言うんです。ちゃんとできたら「先生といっしょにいる時間を大切にしてくれてありがとう」って伝えます

なるほど、叱るのとはアプローチが違いますね

起きたことに対してアクションするっていうのは同じなんですけど、「こうしてくれた方が嬉しいし、そんなあなたが素敵だよ」って。
それでも授業に遅れて黙って入ってくる子には「やり直し」って詰めますけど(笑)「遅れてすみません」って言えたら「すみませんと言うとこは良いよ、そこは良い」って言ってあげるんです。「次は期待してます」とか
子育てのような教育観

先ほどの「なんでもないときはにっこりしておく」って話と繋がった気がするんですけど、いつも笑顔でいるさっきー先生のために子ども達も成長しようと思えるのかなって感じました

低学年の発達に関わる要素って親の存在が大きくて、親といっしょにいる安心感や、親が喜んでくれると自分も嬉しいって気持ちが大きく占めているんです。学校でもその気持ちを大切にしてあげるために、昼間は私がお父さんお母さんの代わりになって愛してあげるっていうのが子ども達にとって大切なのかなって思っています

さっきー先生ってお子さんがいらっしゃるんでしたっけ?親視点のような教育ってどこで学んだんでしょうか

独身です。本を読んでいます。発達心理学とか子育ての本を読むと「そのまま受け入れる」とか「認めてあげる」っていうキーワードがいっぱい出てくるので、書いてあることやってみたらうまくいったのでやってます

親視点のような教育って「自分の子どもが生まれてからできるようになった」っていう話をほかの先生からはよく聞くんですけど、さっきー先生は若いのに子育ての本も読まれているんですね

初任のときに、これまでの生育歴の影響もあって心の発達に課題のある子に出会ったんです。その子に「教師としてしっかり指導しよう」と思ったんですけど、全然うまくいかなくて、お互い大嫌いで進級したんです。その子はもう中学生なんですけど「もっとうまく言ってあげる方法なかったのかな」とか思うことがありました。
それを経て「その子に必要な発達の支援ってあるんじゃないかな」と考えて、発達心理学とかの視点から勉強し直そうと思ったんです

そんな経験があったんですね

それにお父さんお母さん達は「子育て」っていう視点で子どもを見てるので、それを共有した方が良いのかなと思って子育ての本を読み始めました

なるほど、だから親視点のような教育観を持っているんですね

充分持てているかはわからないですけど、材料としてアクセスできるっていう風には思います。本って自分が体験できないことを教えてくれるからいい材料だなって

さっきー先生のおすすめの本、教えてください!

『自分でできる子に育つ ほめ方叱り方』がおすすめです。図書館で読んで良かったので買いました。この本でも紹介されているモンテッソーリ教育や、レッジョ・エミリア教育は、知っていて良かったなと思うことばかりです

さっきー先生、興味深いお話を聞かせてくださってありがとうございました!
インタビューまとめ
- 1年に1つの資格取得は働きながらでも可能
- 勉強へ取り組む姿勢は自然と児童へ伝わる
- 勉強を日常にするのが勉強のコツ
- 仕事を増やさないよう、児童を満足させて帰らせる
- 子育て未経験でも本を読むことで寄り添った視点が得られる
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